2025年を迎え、日本の4K衛星放送は大きな岐路に立たされています。

BS4K視聴可能機器の累積出荷台数は2,407万台に達するなど視聴環境は整っているものの、インターネット配信の拡大と広告市場の飽和により、衛星放送の相対的地位は低下しました。

NHKの「BSP4K」が4K一体化制作で一定の接触率を確保する一方、民放キー局系BS4Kは2K番組のアップコンバートとサイマル放送が中心で、収益やコンテンツ面で足踏み状態が続き、広告収入の伸び悩みが新たなリソース投入を妨げる悪循環に陥っています。

世界では、Netflixが4K制作を原則とするなど、4Kは映像製作と流通の標準となり、「放送と配信のハイブリッド」が主流です。日本においても、放送事業者は「高画質だから見られる」という期待を捨て、4Kをコンテンツの付加価値として戦略的に活用し、配信展開を加速させることが求められています。

特に、視聴者の関心を奪い合う「アテンション・エコノミー」の中では、4Kコンテンツを系列横断的なプラットフォーム(TVerなど)に集約し、収益を確保するビジネスモデルの再構築が急務です。

【ディンコの一言】

衛星放送は高画質、安定性、アクセス容易性という「太い幹」のポテンシャルを持つにも関わらず、民放系BS4Kが2Kサイマル放送に固執した結果、視聴者ニーズを喚起できませんでした。

世界市場で2K制作がコンテンツ評価を低下させる懸念がある中、国内市場で視聴データを取得・活用できるTVerなどの共通プラットフォームで4K配信に舵を切ることは、日本の映像産業が海外OTTとの競争に打ち勝つための最重要戦略となります。