放送業界では、近年顕在化した人権問題 を背景に、ガバナンス改革が待ったなしの状況です。

総務省は、国民の信頼確保のため、各事業者の自主的な体制整備を促しつつも 、経営基盤を脅かすような重大事案発生時には、事業継続性の観点から「免許に条件を付す」など行政が関与する可能性を示唆しました 。

これに対し、民放連(JBA)は「自主自律の徹底」を強く主張 。

行政の関与は、放送法に規定がない上、行政の恣意的な判断や番組内容への介入に繋がるとして強く反発しています 。

しかし、制作現場を担うATP(全日本テレビ番組製作社連盟)は、経営トップの決定が現場に周知されず、「視聴率第一主義」が依然として根強く残っていると告発 。

突発的なスケジュール短縮によるスタッフの超過勤務 や、人件費が制作会社に押し付けられる商慣行が常態化している という悲痛な実態を訴えています。

この現場の過重労働とコスト負担の構造こそが、ガバナンス改革の成否を分ける核心であり、国民の目線から見れば、民放連の「完全な自主自律」の主張は説得力を欠く状況となっています。

【ディンコの一言】

今回の対立は「自主規制か政府介入か」という、国際的に劣後した二項対立に陥っています。

英国Ofcom(オフコム)のような独立した規制機関による監督こそが本来の解です。

指針よりも、現場の「視聴率第一主義」を人事評価に結びつける 経営改革と、行政関与ルールの透明化 が急務かもしれません。