【ディンコの解説】
放送倫理・番組向上機構(BPO)は、政府介入を防ぐ自主規制の「盾」として機能してきましたが、その有効性が問われています。
近年、データ捏造や差別表現などの重大な倫理違反が続出。
特に、ドラマ『セクシー田中さん』問題は、コンテンツ検証が主体のBPOの権能外にある、制作プロセスにおける契約不備や圧倒的なパワーバランスの構造的欠陥を白日の下に晒しました。
罰則権限のない「牙のない虎」批判に加え、英国Ofcomがオンライン規制に権限を拡大する中、デジタル時代の倫理空白地帯にどう対処できるかが、BPOの未来の課題です。
BPOが持つ道義的権威は、コンテンツ倫理の「症状」には対応できても、「セクシー田中さん」問題が示す制作現場の構造的な「病巣」(契約、力関係)には届きません。
テレビ局主導の自主規制は、業界の自己改革を強制する上で根本的な限界を抱えていることを感じさせます。
